連載 薬剤師による処方設計〈69〉
過大腎排泄(Augmented Renal Clearance:ARC)の発生要因と対応
西野真司
1
,
宮川泰宏
1
,
山田清文
2
1名古屋大学医学部附属病院薬剤部
2名古屋大学医学部附属病院薬剤部 教授/薬剤部長
pp.2467-2471
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112467
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これまで,腎クリアランス低下時における薬の投与量の減量等の調節については多くの研究報告がなされているが,腎クリアランス増加時における投与量の調節についての研究は少ない。敗血症等の病態において,クレアチニンクリアランス(CCr)>130mL/分/1.73m2の場合,通常のクリアランスを超えて薬が排泄される過大腎排泄(Augmented Renal Clearance:ARC)の発生が示唆されている。ARCのリスク因子としては,敗血症,頭部外傷,低アルブミン血症,血液腫瘍,若年者,ICU(集中治療室)入室患者等が報告されている。ARC発生下においては,通常投与量では薬の効果が不十分となる可能性が示唆されており,主に抗生物質でtime above MIC(定常状態の24時間で血中薬物濃度が最小発育阻止濃度を超えている時間の割合)やAUC/MIC(血中濃度-時間曲線下面積/最小発育阻止濃度)を指標とした研究が行われている。今回,ARCの発生機序,リスク因子について紹介するとともに,対応策を紹介する。