特集 喘息治療における分子標的治療
3.現適応薬各論 3)抗IL-5受容体α抗体:ベンラリズマブ
福永興壱
1
,
上田壮一郎
1
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科 准教授
pp.2417-2422
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112417
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重症喘息患者の新規治療薬としてヒト化抗Interleukin-5受容体αモノクローナル抗体(抗IL-5R αモノクローナル抗体)であるベンラリズマブが,2018年1月よりわが国でも承認された。この薬剤は好酸球の活性化に関わるIL-5の受容体に強力に結合し,IL-5のシグナルを遮断するだけでなくNK(ナチュラルキラー)細胞やマクロファージの抗体依存性細胞傷害(Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)活性により好酸球のアポトーシスを誘導する作用も有することで強力な好酸球の制御が可能となり,既存の治療ではコントロール不十分な好酸球増多を有する重症喘息の有力な治療選択肢となり得る。これまでの臨床試験からの報告では,年間の喘息増悪の抑制効果,FEV1(1秒量)改善効果,喘息症状の改善が認められ,さらには経口ステロイドの減量効果も期待できる。