Japanese
English
今月の主題 注目されるサイトカイン
話題
抗IL-6受容体抗体療法
Anti-interleukin-6 receptor antibody therapy
西本 憲弘
1
Norihiro NISHIMOTO
1
1和歌山県立医科大学免疫制御学講座
キーワード:
トシリズマブ
,
キャッスルマン病
,
若年性特発性関節炎
,
関節リウマチ
Keyword:
トシリズマブ
,
キャッスルマン病
,
若年性特発性関節炎
,
関節リウマチ
pp.659-664
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102318
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1.はじめに
インターロイキン6(interleukin-6;IL-6)は,免疫応答や炎症反応の調節など多彩な生理作用を有する生体防御にとって重要なサイトカインである.しかし,多彩な作用を有するために,もしIL-6が持続的かつ過剰に産生されると様々な病態を引き起こす.関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)をはじめとする多くの炎症性免疫疾患や血液疾患の根本的な原因はいまだ明らかではないが,その病態形成においてIL-6の過剰産生が重要な役割を果たしている.したがって,IL-6のシグナル伝達を阻害することにより,治療効果が得られる可能性が考えられる.そのようなコンセプトにより開発されたのがヒト化抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ®)である.
トシリズマブは本邦オリジナルの初の治療用ヒト化モノクローナル抗体である.IL-6がIL-6受容体に結合するのを特異的に阻害することで効果を発揮する.トシリズマブは2005年に希少疾患であるキャッスルマン病に,2008年にはRAと若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis;JIA)の治療薬として世界に先駆けて本邦で承認された.さらに日本から世界に発信し,2009年に欧州連合で,2010年1月には米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)によりRAに対し承認された.
本稿ではサイトカイン研究の疾患治療への応用として,トシリズマブによる抗IL-6受容体抗体療法について紹介したい.
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