特集 喘息治療における分子標的治療
2.基礎総論:喘息における気道炎症の概説
鈴川真穂
1
1独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器内科・医長
pp.2401-2405
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112401
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喘息における気道炎症には,さまざまな病態が存在する。アレルゲンによって活性化されたTh2細胞がIL(インターロイキン)-4,-5,-13等,Th2サイトカインを産生し,マスト細胞や好塩基球,好酸球を活性化させることが知られていた。さらに近年,気道上皮細胞から放出されるTSLP(thymic stromal lymphopoietin),IL-25,-33により活性化される2型自然リンパ球が,IL-5およびIL-13の産生源となり,好酸球性気道炎症を引き起こす経路が解明された。また,Th17細胞,3型自然リンパ球が関与する好中球性気道炎症による非好酸球性気道炎症の存在も明らかにされた。さまざまな喘息病態が明らかとなるのに伴い,主要な分子を標的とした分子標的治療への応用が進みつつある。