連載 リスクマネジメント~院内での薬剤師の活動~(122)
電子カルテを用いた病棟専任薬剤師と看護師との連携による自己管理薬のインシデント対策とその評価
髙谷甲波
1
,
大谷道輝
2
,
大沢幸嗣
1
,
稲村澄子
1
1東京逓信病院薬剤部
2杏雲堂病院診療技術部長 /東京薬科大学客員准教授
pp.121-124
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801121
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東京逓信病院(以下,当院)のインシデントは,薬剤に関する報告が最も多く,「看護師の予薬忘れ」および「患者の自己管理薬による間違い」が,毎年1位と2位を占めている。自己管理薬による間違いは「過量服用」が約 70%を占め,その副作用が懸念される。当院では自己管理薬によるインシデント削減を目的として,薬剤師が自己管理アセスメントシートを作成し活用した結果,50%削減でき,有用であることを平成 26年(2014年)度に報告した。さらなる自己管理薬によるインシデント削減を目的とし,薬剤師が作成したアセスメントシートを電子カルテシステムに構築し,病棟専任薬剤師のアセスメント後,看護師が再評価をすることでインシデントは 80%減少した。病棟専任薬剤師と看護師のアセスメントの違いは約 10%に認められ,患者の自己管理の評価は薬剤師のみでは困難であり,看護師との連携が自己管理薬のインシデント削減には不可欠であることが示唆された。