連載 リスクマネジメント~院内での薬剤師の活動~(91)
病棟常駐薬剤師による薬剤関連インシデント事例の把握・検討と医療安全への効果
船越幸代
1
,
竹田克明
3
,
前田頼伸
2
1独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 薬剤部
2独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 薬剤部薬剤部長
3独立行政法人 労働者健康福祉機構 山口労災病院 薬剤部・薬剤部長
pp.2015-2020
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014082015
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病院における医療エラーの約半数は,医薬品関連である。薬剤関連インシデントを減少させ,薬物療法の安全性を確保し質を向上させる上で,薬剤師の果たす役割は大きい。中国労災病院(広島県呉市)では全病棟に専任薬剤師が常駐し,薬剤管理指導と医薬品管理を行ってきた。2010年6月からは各病棟の担当薬剤師が病棟における薬剤関連インシデントについて詳細な情報を収集し,週1回の病棟担当薬剤師会議で薬剤師の視点から改善策を検討している。その結果,薬剤関連インシデントの総報告件数は増加していたが,患者影響度の高いレベルのインシデント件数は有意に減少していた。病棟担当薬剤師による客観的な情報分析と改善への取り組みは,より危険性の高い薬剤関連インシデントを減少させ,薬物療法の安全性を確保し質を向上させることに貢献できると考えられる。