連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(63)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 硬膜下血腫,オピオイド過剰摂取,ノイラミニダーゼ阻害薬,レニン・アンジオテンシン系阻害薬,CYP2D6
Keyword:
● 硬膜下血腫,オピオイド過剰摂取,ノイラミニダーゼ阻害薬,レニン・アンジオテンシン系阻害薬,CYP2D6
pp.1732-1738
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201707158
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.デンマークの医療情報データベース等を用いた症例対照研究が行われ,抗血栓薬による硬膜下血腫のリスクはビタミンK拮抗薬で大きく,クロピドグレルと直接作用型経口抗凝固薬では中程度,低用量アスピリンでは小さかったことが報告されている。 2.米国の民間健康保険のデータベースを用いた研究が行われ,ベンゾジアゼピン系薬の併用によりオピオイド過剰摂取による救急受診や入院のリスクが高かったことが報告されている。 3.スカンジナビア地方とフランスの医療情報データベースを用いた研究が行われ,妊娠中にノイラミニダーゼ阻害薬を使用した場合,新生児の有害アウトカムのリスクは上昇しなかったことが報告されている。 4.英国の医療情報データベースを用いた研究が行われ,レニン・アンジオテンシン系阻害薬開始後にクレアチニン値が軽度に上昇した場合でも,心・腎臓有害アウトカムのリスクが高かったことが報告されている。 5.閉経後健康女性を対象とした試験が行われ,ミラベグロンの併用によりトルテロジンのAUC(血中濃度-時間曲線下面積)が1.86倍と軽度に上昇し,CYP(チトクロムP450)2D6を介した相互作用が示唆されている。 6.健康成人を対象とした試験が行われ,フルボキサミンの併用によりアトモキセチンのAUCが1.20~1.48倍と軽度に上昇し,CYP2D6を介した相互作用が示唆されている。