連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈16〉
エムプリシティⓇ点滴静注用300mg, 同400mg
八島一史
1
,
中川直人
2
,
眞野成康
3
1東北大学病院薬剤部
2東北大学病院薬剤部 薬品情報室長
3東北大学病院薬剤部 教授/薬剤部長
pp.1327-1329
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017051327
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◆製剤の特徴 「エムプリシティ点滴静注用300mg,同400mg(エロツズマブ〔遺伝子組換え〕)」は,再発・難治性の多発性骨髄腫(Multiple Myeloma:MM)に適応を有するヒト化モノクローナル抗体である。再発・難治性MM に対する標準療法の一つとしてレナリドミド+デキサメタゾン(Ld療法)が知られているが,Ld療法にエロツズマブを併用することで,上乗せ効果が認められている。本薬は細胞表面に発現する糖蛋白質Signaling Lymphocyte Activation Molecule Family Member 7(SLAMF7)を標的としており,抗体依存性細胞障害による腫瘍細胞の増殖抑制1)や,直接的にナチュラルキラー細胞を活性化することで抗腫瘍効果を示すと考えられている2)。SLAMF7は骨髄腫細胞の95%以上に発現しているが1)3),正常な組織にはほとんど発現せず,腫瘍細胞に選択的な作用を示す。