特集 睡眠科学の新潮流
7.ストレスと睡眠
高原円
1
1福島大学共生システム理工学類人間支援システム専攻・准教授
pp.663-666
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201702103
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ストレスは,心理学においても主要な問題である。ストレスそのものは,いくぶん捉えがたい概念ではあるが,身体反応としてのストレス反応を見ると,実に多大な影響をもたらしていることが分かる。日中のストレスなどに起因する身体の高覚醒状態が夜間にも持続することで,不眠や睡眠の質の低下が引き起こされる。ストレスが避けられない場合は,適切なマネジメントを講じ,緩衝効果を期待する。大規模な災害では,急性のストレス反応と二次的な要因の蓄積による慢性的な反応があり,それぞれ不眠症状を伴うことになる。福島市の親子の事例では,原発事故から3年が経過しても依然としてストレスや睡眠問題行動が高く,原子力災害による長期的な影響が示された。