講座
ストレス
田多井 吉之助
1
1国立公衆衞生院
pp.89-92
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909665
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ちかごろストレスという言葉がよく使われる。ストレスが強いとかストレス病だとか,ちよつと流行しすぎるかと思うくらいに使われる。そのような理由から本誌の編輯者がストレスの解説を筆者に求めたのであろう。
ストレスという言葉の起原 ストレスの語原は英語のStressである。これはゴム球を押しちぢめたりスプリングを引きのばしたりした場合に,ゴム球やスプリング中に生じる歪みをいみする物理学の言葉である。この言葉を生物学的用語いなむしろ医学用語に適用したのはカナダのSelye教授であつた。セリエ教授の「全身適応症候群General Adaptation Syndrome」の概念によれば,体外からの非特異的な各種の作用因子によつて体内に生物的なストレス状態,すなわち一種の歪みである傷害と防禦の反応が生じるのである。以上はまつたく字義にしたがつた説明なので,つぎに例をひいてこれを解説しよう。
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