第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
乳癌治療薬
井上賢一
1
1埼玉県立がんセンター乳腺腫瘍内科・科長/部長
pp.336-343
発行日 2016年1月31日
Published Date 2016/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201613336
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乳癌の治療は,ホルモン(エストロゲン,プロゲステロン)受容体陽性,HER2(human epidermal growth factor receptor 2)陽性と,両者陰性のトリプルネガティブのサブタイプ別により,治療薬が選択されている。乳癌は,ホルモン受容体(HR)陽性ではホルモン療法,HER2蛋白が高発現していれば抗HER2療法,両方発現していればホルモン療法または抗HER2療法,両者陰性のトリプルネガティブでは抗癌作用を有する化学療法薬が使用される。 今回は,乳癌に使用が期待される,ホルモン療法耐性や作用増強の期待が持たれるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬のパルボシクリブ,アベマシクリブと種々の新生物の発生において中心的な役割を担っているホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達を阻害するアルペリシブなどの新しい薬剤とミセル可溶化パクリタキセルについて述べる。 また,欧米から承認が遅れ,ようやく使用可能になった,癌化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制する顆粒球コロニー形成刺激製剤のペグフィルグラスチム(PEG-G)について触れる。