第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
婦人科癌治療薬
田中良道
1
1大阪医科大学産婦人科学教室・外来医長
pp.344-349
発行日 2016年1月31日
Published Date 2016/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201613344
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近年の分子生物学の進歩に伴い,分子標的治療薬の開発には目覚ましいものがある。婦人科悪性腫瘍においても,卵巣癌における分子標的治療薬としてベバシズマブ(アバスチン)が承認され,日常臨床への利用が広まっている。現在,婦人科悪性腫瘍に対して適応はないものの,新たに承認された薬剤で注目されるものとしては,免疫療法として抗PD-1(programmed cell death-1)抗体であるニボルマブ(オプジーボ)と,抗CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen-4)抗体のイピリムマブ(ヤーボイ)があげられる。ニボルマブについては,再発卵巣癌に対して日本での医師主導型治験成績の結果が報告されるなど,今後は婦人科領域への導入が期待される薬剤である。また,新たな分子標的治療薬として,他癌種で承認されたチロシンキナーゼ阻害剤のレンバチニブメシル酸塩(レンビマ)と,ラムシルマブ(サイラムザ)の婦人科悪性腫瘍における臨床試験も進行中である。