第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け~新薬の広場~
■乳癌治療薬
伊藤良則
1
1がん研究会有明病院乳腺センター乳腺内科・部長
pp.338-345
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313338
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乳癌腫瘍学の理解に伴いサブタイプ別の治療が進歩した。エリブリンはアントラサイクリンおよびタキサン既治療転移乳癌に対して全生存期間延長の有用性が証明され,標準治療の仲間入りをした。ベバシズマブはパクリタキセルとの併用によって奏効率,無増悪生存期間を有意に延長した。デノスマブは骨関連事象の減少,疼痛発現までの期間を向上させた。HER2(Human epidermal growth factor type 2)陽性転移乳癌に対するペルツズマブ,トラスツズマブ・エムタンシンが治療成績を向上させた。mTOR(mammalian target of rapamycin)阻害薬であるエベロリムスはアロマターゼ阻害剤抵抗性乳癌に対して,エキセメスタンとの併用によって無増悪生存期間を有意に延長させた。これらの治療薬の最適化の臨床研究が今後も必要である。