第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
乳癌治療薬
古閑知奈美
1
,
大野真司
2
1独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 乳腺科
2独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 乳腺科 部長・臨床研究センター長
pp.379-391
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513379
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本邦において最近の乳癌治療薬として承認を受けたものは,2013年のペルツズマブ,トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1),2014年のエベロリムスがあげられる。いずれも分子標的治療薬である。ペルツズマブは,進行再発乳癌に対して1st lineでのトラスツズマブとドセタキセルの併用による治療効果が認められて承認を得た。また,T-DM1は,トラスツズマブに抗癌剤作用を持つ複合体エムタンシン(DM1)を結合させた薬剤である。トラスツズマブとエムタンシンを合わせた効果を発揮し,トラスツズマブ治療耐性に対する治療としてその効果が認められた。エベロリムスは,既に他疾患についての承認を得ていたが,今回,乳癌にも追加承認を得るに至った。エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌でホルモン治療耐性となっても,細胞内伝達経路の哺乳類ラパマイシン標的蛋白質(mTOR)を阻害して癌の増殖を抑制するところに期待が寄せられている。また,今後,承認に向けて注目を浴びているのは,サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤のパルボシクリブである。