講座
乳癌の治療
増田 強三
1
1京都大学外科第2講座
pp.24-30
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910232
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はしがき
欧米の婦人に比べれば日本の婦人は統計的には乳癌が少く,むしろ子宮癌が多いと云う事になつている。これは日本人は子供を生む事が多いからであると云われているが,近頃は日本の女性の地位も向上して子供の数も少く,人工栄養で子供を育てたり,人工中絶を行つたりする事が多くなつた為か,次第に乳癌の発生率も高くなり,欧米の発生率に近ずきつつあるように思われる。これは果して女性の為によろこぶべき現象であるか,悲しむべき事か甚だ疑問であろう。
兎も角,京都大学の外科外来を訪れる乳癌患者の数が最近増加した事は確かで,しかも比較的若い人も少くない事は誠に憂慮に耐えない。
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