連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈10〉
ムルプレタⓇ錠3mg
田中真砂
1
,
林昌洋
2
1虎の門病院薬剤部 医薬情報科長
2虎の門病院薬剤部 薬剤部長
pp.2565-2567
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201611167
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◆ 製剤の特徴 「ムルプレタ®錠3mg(ルストロンボパグ)」は,トロンボポエチン受容体に選択的に作用し,骨髄前駆細胞から巨核球系への分化誘導・増殖を促進し,血小板数を増加させる薬剤である。 慢性肝疾患では血小板の減少が認められるため,観血的手技の度に出血予防のための血小板輸血が必要となる症例があった。本剤は,こうした患者が待機的な観血的手技を受ける際,血小板を増加させることにより血小板輸血を回避できる選択肢となる。国内第III相試験における血小板輸血回避率は,本剤投与群79.2%とプラセボ投与群12.5%を有意に上回った。 重大な副作用である血栓症への注意が必要である。7日間の投与が規定されているが,血小板数が過剰に増加することを防ぐため,血小板数が5万/μL以上となり,かつ投与前より2万/μL以上増加した場合は,本剤の投与を中止することと定められている。