連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(55)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● アキレス腱断裂,CYP3A4,CYP2D6,発語障害,DRESS 症候群,グルクロン酸抱合
Keyword:
● アキレス腱断裂,CYP3A4,CYP2D6,発語障害,DRESS 症候群,グルクロン酸抱合
pp.2558-2564
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201611160
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.猫による咬傷のためレボフロキサシンを投与された患者において,投与数日後からアキレス腱の痛みを訴え,1カ月後にアキレス腱断裂を認めた症例が報告されている。 2.台湾の健康保険データベースを用いたコホート研究において,CYP(チトクロムP450)3A4で代謝されるスタチンとカルシウムチャネル遮断薬の併用により,急性腎障害,高カリウム血症,急性心筋梗塞,急性虚血性脳卒中のリスクが上昇することが報告されている。 3.健康成人を対象とした検討において,テルビナフィンの併用によりトラマドールの血漿中濃度が上昇し,活性代謝物の血漿中濃度が顕著に低下し,CYP2D6を介した相互作用が示唆されている。 4.腎移植後にタクロリムスを投与されていた患者において,移植9カ月後に白質脳症に伴う遅発性の発語障害を認めた症例が報告されている。 5.ニンジンを常用していた患者が,痙攣発作のためラモトリギンを投与されたところ,好酸球増加および全身症状を伴う薬物反応(DRESS)症候群を呈した症例が報告されている。 6.健康成人を対象とした検討において,アモキシシリン・クラブラン酸の併用はバルプロ酸の体内動態に影響を及ぼさなかったことが報告されている。