医薬ジャーナル論壇
地方自治体と医療者に託される生活モデル支援
佐々木均
1
1長崎大学病院薬剤部・教授/薬剤部
pp.1007-1009
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604027
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日本は,高度経済成長期における産業構造の変化と核家族化により,地域社会の構成が大きく変わった。また,寿命の伸長に伴い,病気を抱えた高齢者が増加している。こうした社会では,病気の治癒よりも生活の質の向上を目標に,保健・医療・福祉が統一された地域包括ケアが重要になるのが必然である。しかし,地域包括ケアの確立は,住民の自立度が不十分であったり地域との関わりが薄いと非効率的で時間がかかる。住民自らが意識を変えて自立し,地域の問題を解決するため,人的資源と社会的資源を活用し,地域や個人の「生活モデル」を求めていくしかない。医療の専門家や地方自治体,地域を思うボランティアは,住民とともに地域力を醸成し,環境を整え,「生活モデル」を積極的に支援していく必要がある。地域包括ケアに対する地域の本気度が試されている。