第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
癌治療補助薬
村上明男
1
,
和泉啓司郎
2
1国立国際医療研究センター病院薬剤部
2国立国際医療研究センター病院薬剤部 薬剤部長
pp.417-429
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513417
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癌に対する治療は日々変化を続けており,新規作用機序の抗悪性腫瘍薬や分子標的薬などが新たに開発されている。患者の有害事象を上手く管理しつつ,治療を完遂することが患者のQOL(quality of life)維持に繋がってくる。化学療法を実施する際の抗癌薬の血管外漏出事象も,患者のQOLを損ねる一つの問題であるが,今回2014年1月に本邦でも発売されたデクスラゾキサン『サビーン® 』は,壊死性抗癌薬に分類されているアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出に対して適応となっており,血管外漏出に対する治療薬としては本邦初となる薬剤である。また,癌患者の一番大きな問題である痛みと化学療法を実施する際の悪心,嘔吐に対する薬剤は支持療法薬として重要であり,今回は癌疼痛管理における舌下的な使用の新規フェンタニルクエン酸塩製剤である『アブストラル® 舌下錠』と,2014年10月米国において新規薬剤として承認された経口制吐剤の抗NK1 (Neurokinin 1)拮抗薬と5-HT3 (serotonin-3)拮抗薬との合剤であるAKYNZEO ® は,患者のQOL向上に期待される新薬として記載する。