第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け~新薬の広場~
■癌治療補助薬
石川寛
1
1静岡県立静岡がんセンター薬剤部〔がん専門薬剤師〕
pp.368-381
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313368
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癌性疼痛治療剤として,オピオイドは重要な薬剤の1つである。3種類の強オピオイドであるモルヒネやフェンタニル,オキシコドンがあり,さまざまな剤形が発売されているが,本邦では欧米諸国に比べオピオイドの種類が少なく消費量も少ない現状である。しかし,2012年5月にオキシコドンの注射剤(オキファスト®注)が発売された。これは,オキシコドン単味の注射剤であるため,モルヒネやフェンタニル,オキシコドンの同主成分による純粋な注射剤が揃ったことになる。これにより,薬剤の選択肢の幅が広がった。これ以外にも,フェンタニル速放性製剤やタペンタドール,メサドンなどのオピオイド鎮痛剤が発売予定もしくは臨床治験中である。今後,日常の癌診療において,病態とオピオイドの特性を考えながら使い分けることが求められるようになると予想される。
本稿では,オキファスト®注と現在発売予定もしくは臨床治験中であるオピオイド製剤および末梢性オピオイド受容体拮抗剤であるメチルナルトレキソンについて述べる。