第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
抗リウマチ薬
羽生忠正
1
1長岡赤十字病院 リウマチセンター長
pp.430-441
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513430
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関節リウマチ(RA)に対する生物学的製剤は,2013年3月の時点で7剤承認されていた。2013年5月にトシリズマブ(TCZ)の皮下注製剤が発売され,生物学的製剤としては初めて,点滴静注用製剤と皮下注製剤の両方をそろえた二刀流となった。さらに2013年8月,点滴静注用製剤アバタセプト(ABT)にも皮下注製剤が加わった。皮下注製剤は,エンブレル®,ヒュミラ®,シンポニー®,シムジア®,アクテムラ®,オレンシア®の6剤となり,このうちシンポニー® を除く5剤は,自己注射への移行が可能となった。さらに,生物学的製剤の第一選択薬は腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬とされてきたが,インターロイキン6受容体抗体であるTCZとT細胞選択的共刺激調節剤のABTも生物学的製剤の第一選択薬としてコンセンサスを得た。そこで,この2剤の皮下注製剤の製品紹介と点滴静注から皮下注射へ切り替えた場合の臨床成績を概説した。次に,ABT点滴静注剤の全例市販後調査(PMS)の最終報告を取り上げた。一方,経口のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるゼルヤンツ® 錠の使用に当たっては,日本リウマチ学会で策定したPMSのためのトファシチニブ(TOF)使用ガイドラインを遵守して欲しいこと,メトトレキサートを8mg/週を超える用量を3カ月以上継続して使用してもコントロール不良のRA患者を対象に実施中であることを報告した。最後にTOFに追随する形で開発中のJAK阻害薬の治験の動向などについて紹介した。