第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
婦人科癌治療薬
尾上琢磨
2
,
松本光史
2
2兵庫県立がんセンター腫瘍内科 医長/診療科長
pp.392-397
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513392
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婦人科癌領域における初めての分子標的治療薬として,卵巣癌に対するベバシズマブがわが国において適応承認され,2014年は実際に臨床導入された最初の年となった。初回治療時,プラチナ製剤感受性再発時,プラチナ製剤抵抗性再発時のいずれでも使用可能であり,標準治療の選択肢が広がった。一方で,注意すべき有害事象の報告もあり,どのような患者群に積極的に使用していくかは,最新のバイオマーカーに関する研究等も注視しながら議論を進める必要がある。また,新たな作用機序を持つ薬剤として,複数のPARP(poly ADP ribose polymerase)阻害薬が,卵巣癌を含む癌種において,現在,臨床開発中である。PARP阻害薬に関しては,生殖細胞系列の遺伝子変異がバイオマーカーとなるため,遺伝カウンセリング等の体制整備が急務とされる。