第 II 部 注目の新薬
〔選択的SGLT2阻害薬〕「スーグラ®錠25mg,同50mg」
柏木厚典
1
1社会医療法人 誠光会 草津総合病院・理事長
pp.271-280
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513271
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新しい作用機序による経口糖尿病治療薬のNa+/グルコース共役輸送体2(sodiumglucose co-transporter 2:SGLT2)阻害薬イプラグリフロジンは,腎近位尿細管上皮細胞に局在するSGLT2を特異的に抑制し,グルコース再吸収を阻害することにより,正常で約60 g/日,糖尿病患者で約100g/日の尿糖を排泄し,高血糖の改善(HbA1cで約0.9~1.3 %の改善),特に,1日1回の投与で安定的に血糖低下効果が持続し,他剤と併用しても同程度のHbA1c改善効果が得られる。浸透圧利尿による軽度の脱水効果と脂肪分解の亢進にともない体重減少,血清中性脂肪,HDL-C(高比重リポ蛋白コレステロール)の改善,脂肪肝の軽減が期待できる。一方,合併症として多尿,頻尿症状,尿路感染症,女性外性器感染症,皮膚関連症状が見られるが,いずれも軽症である。同種の薬剤が多数開発されているが,その臨床的有用性と使用上の注意点について更に検討を要する。