特集 真菌感染症 ~この10年の進歩~
2.各種真菌感染症の取り扱いと課題 6)新興クリプトコックス 感染症
掛屋弘
1
,
山田康一
2
1大阪市立大学大学院医学研究科臨床感染制御学 教授
2大阪市立大学大学院医学研究科臨床感染制御学 講師
pp.1553-1559
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506115
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クリプトコックス症は,酵母様真菌のCryptococcus 属による感染症で,主にC. neoformans とC. gattii が原因となる。その多くはC. neoformans による感染症が主で,健常人をはじめ細胞性免疫低下状態,免疫抑制薬やステロイド,生物学的製剤投与患者に肺病変や脳髄膜炎を発症する。一方,従来C. gattii はオーストラリア等の限られた地域の真菌症で,ヒトへの感染発病も稀で予後も比較的良好とされていたが,近年,北米で罹患率や死亡率が高いC. gattii によるアウトブレイクが報告された。北米株は病原性が強く,宿主の免疫応答も引き起こしにくいこと,さらに抗真菌薬に対しても低感受性である等の特徴が明らかにされつつある。わが国でも渡航歴のないC. gattii 感染症が報告され,今後の動向が注目される。