特集 真菌感染症 ~この10年の進歩~
2.各種真菌感染症の取り扱いと課題 3)血液疾患における 真菌感染症対策
森有紀
1
1虎の門病院血液内科・医長
pp.1533-1538
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506095
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血液疾患における真菌感染症は,宿主の易出血性や易感染性故に,診断が困難であり,かつ,いったん発症すると治療に難渋し,致死的状態へと進展する可能性が極めて高い。そのために,宿主のリスクを評価して十分な予防対策を行う,広域抗菌薬不応性の発熱が遷延する際は,確定診断に至らない場合でも早期治療の開始を考慮するなど,血液領域における真菌感染対策は非常に特徴的である。真菌感染症の診断技術が向上し,新規抗真菌薬が導入される中,血液疾患自体の治療も格段に進歩し,宿主のリスクは多様化し,かつ複雑化している。 本稿では,血液疾患での真菌感染症対策がどのような変容を遂げてきたかを総括するとともに,合わせて今後の課題も探ってみたい。