特集 真菌感染症 ~この10年の進歩~
2.各種真菌感染症の取り扱いと課題 2)カンジダ症診療の変遷
植田貴史
1
,
竹末芳生
2
1兵庫医科大学感染制御学
2兵庫医科大学感染制御学 主任教授
pp.1525-1531
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506087
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侵襲性カンジダ症に対するエンピリック治療開始基準として,10年前欧米ではリスク因子とカンジダの定着(colonization)が治療開始の指標とされていた。一方,わが国では2003年に発表した「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」でβ-D-グルカンなどの血清診断を用いた診断を推奨し,その後ガイドラインは2007年,2014年と改訂されてきた。そして,欧米においてもβ-D-グルカンなどの血清診断をエンピリック治療の開始基準に追加する考え方になってきた。また,抗真菌治療薬に関しても10年前はフルコナゾール,アムホテリシンB製剤が主であったが,その後多くのキャンディン系薬等の新規抗真菌薬が発売され,抗真菌薬の選択肢の幅が広がった。 今回,定着を考慮した臨床診断と菌種ごとの抗真菌薬治療について,この10年の変化について述べるとともに,カンジダ属の定着および血清診断の評価方法,菌種ごとの抗真菌薬治療とキャンディン系薬使用時の留意点についてまとめたので紹介する。