特集 真菌感染症 ~この10年の進歩~
2.各種真菌感染症の取り扱いと課題 7)皮膚糸状菌感染症:Trichophyton tonsurans感染症の診断と 感染対策
比留間淳一郎
1
,
比留間政太郎
2
1東京医科大学皮膚科学教室
2お茶の水真菌アレルギー研究所・所長
pp.1561-1565
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506123
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Trichophyton tonsurans 感染症は,2000年頃に格闘技選手を通じて欧米から日本へ持ち込まれた皮膚糸状菌症の1つである。現在,患者本人よりその友人,家族などへ感染が拡大している。本症の主な病型は,体部白癬と頭部白癬である。体部白癬は,直径1~2cmの小さな環状の紅斑・落屑局面で見逃されやすい。頭部白癬は,脂漏性皮膚炎型,ケルスス禿瘡,Black dot ringwormに分類される。診断は,まず本症を疑うことである。次にKOH(苛性カリ)検査と真菌培養を行う。頭部白癬は,ブラシ検査陽性者の80%は症状が無いか軽微である。診察時はBlack dotsの発見に努める。患者1名を発見した場合,その周囲には保菌者が必ず居るので接触者へは検査を勧める。対策は,本症の啓蒙と真菌培養検査の普及が不可欠である。