今月の表紙 帰ってきた真菌症・6
新興真菌症原因菌
矢口 貴志
1
,
西村 和子
2
Takashi YAGUCHI
1
,
Kazuko NISHIMURA
2
1千葉大学真菌医学研究センター系統化学分野
2千葉大学
pp.654-655
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102010
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真菌による日和見感染症は,白血病など悪性腫瘍,臓器移植,HIV感染などのため,免疫能が極端に低下した患者に感染する.原因菌の多くは,通常,腐生菌として土壌,植物,空気中など生活環境に生息し,一部の菌は宿主に常在している.カンジダ症,アスペルギルス症,クリプトコックス症,接合菌症が主要な疾患である.
これらに加えて,近年,Pseudallescheria boydiiと関連無性型種,Paecilomyces属(4月号),Fusarium属,Schizophyllum commune(スエヒロタケ,12月号予定)などによる真菌症が報告され,新興真菌症と呼ばれている.これらの病原性はそれほど強くはないが,抗真菌剤に対する抵抗性がある菌種もある.今後,原因菌の同定,診断技術が高まるとともに,症例の報告数も増加すると考えられる1~4).
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