特集 真菌感染症 ~この10年の進歩~
2.各種真菌感染症の取り扱いと課題 5)健常者で鑑別すべき 深在性真菌症
渡辺哲
1
,
亀井克彦
2
1千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野 准教授
2千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野 教授
pp.1547-1551
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506109
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肺アスペルギルス症やムーコル症などの深在性真菌症が,原則として免疫抑制患者のみに発症することとは対照的に,地域流行型真菌症(いわゆる輸入真菌症)の中には一般旅行者も含めた健常者にも感染が成立するものがある。臨床症状は非特異的なものが多いため,主治医が本疾患群を想定していなければ,診断に至らない可能性もある。確定診断のために最も重要なことは,詳細な渡航歴の聴取である。血清診断は感度,特異度ともに十分とは言えず,補助診断にとどまる例もある。確定診断のためには病変部の病理検査が極めて有用である。一般医療機関での培養検査は行うべきではない。治療は長期にわたる抗真菌薬投与が必要となる。