特集 真菌感染症 ~この10年の進歩~
2.各種真菌感染症の取り扱いと課題 4)アスペルギルス症の問題点と Aspergillus fumigatus関連菌種
梅山隆
1
,
宮崎義継
2
1国立感染症研究所真菌部 主任研究官
2国立感染症研究所真菌部 部長
pp.1541-1545
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506103
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医療の高度化に伴って易感染性患者は増加し,日和見感染症としての深在性真菌症,特に,アスペルギルス症が増加傾向にある。最近の10年間でアスペルギルス症の分野で最も問題視されているトピックとして,薬剤耐性,特にアゾール系抗真菌薬に対する耐性が増加していることがあげられる。問題は大きく二つあり,一つはAspergillus fumigatus(A.fumigatus)関連菌種による薬剤耐性,もう一つはA. fumigatusのアゾール耐性変異株の出現である。後者の原因として,アゾールの長期投与による患者体内での耐性獲得と,アゾール系農薬の大量散布による環境中での耐性化変異の二つが議論されている。解決策として,アゾール系以外の他のクラスの抗真菌薬の経口薬や,新規クラスの抗真菌薬の開発が大きく期待されている。