特集 特集 miRNAの実力:診断から治療まで
9.miRNAドラッグデリバリーシステムの開発
山 田
1
,
大野慎一郎
1
,
黒 田
2
1東京医科大学基礎医学系分子病理学分野
2東京医科大学基礎医学系分子病理学分野 主任教授
pp.2865-2867
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201412111
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細胞から分泌される膜小胞体は,分泌経路,大きさ,構成分子または分泌する細胞の種類によって,エクソソーム(Exosome),マイクロベジクル(Microvesicles),アポトーシス小体(Apototicvesicles)に細かく分類されている1)。エクソソームは,後期エンドソームに由来する40~100nmの膜小胞体である。エクソソームの膜表面上に発現する分子は,その受容体を持つ細胞に刺激を与え,また,内包されたタンパク質やRNA(ribonucleic acid)はエクソソームを取り込んだ細胞内で機能するなど,多様な性質を有することが明らかになりつつある。特に,siRNA(small interfering RNA)やmiRNA(microRNA)などの核酸医薬を患部局所に届ける運搬体(キャリアー)の新たな素材としてのエクソソームが注目されている。
本稿では,エクソソームが核酸医薬品のDDS(ドラッグデリバリーシステム)に応用されるに至った背景および最新の研究を総括し,その可能性について考察する。