特集 免疫療法の現状と将来
Ⅵ.リポソームデリバリーワクチン
内田哲也
1
Tetsuya Uchida
1
1国立感染症研究所血液・安全性研究部客員研究員
pp.1098-1111
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201608056
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
リポソーム結合抗原の特徴として我々が最初に見いだしたのは,この抗原修飾方法が抗原特異的かつIgE選択的な無反応を誘導するということであった。この発見を受け,アレルギー反応を惹起しにくいワクチンの創製が試みられた。リポソームの脂質組成を最適化する作業の中で,選択する脂質によってリポソームのアジュバント効果が著しく異なることに加えて,特定の脂質組成のリポソームに結合した抗原は細胞性免疫を誘導することがわかった。このことがリポソーム結合抗原を用いた「万能インフルエンザワクチン」の創製に繋がった。