特集 特集 miRNAの実力:診断から治療まで
8.miRNAを用いたリプログラミングによる再生医療への応用と疾患治療
今 野
1
,
石 井
2
,
土 岐
3
,
森
3
1大阪大学大学院医学系研究科消化器癌先進化学療法開発学
2 同 癌創薬プロファイリング・教授
3 同 消化器外科学 ・教授
pp.2859-2864
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201412105
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iPS細胞を始めとする細胞のリプログラミングは,細胞の性質を大きく変化させる非常に有効な手段である。大腸癌などの消化器癌組織は非常に多種多様な細胞を含む細胞集団であり,中には浸潤転移や治療抵抗性という癌の悪性形質を担う癌幹細胞と呼ばれる細胞集団が存在すると言われている。現状の抗癌剤では癌幹細胞は治療不能であり,この形質を大きく変化させ治療に感受性を持たせるための革新的技術は癌の根絶に向け,非常に重要な研究課題であると考えられる。
本稿では,癌幹細胞の悪性形質をリプログラミングにより大きく変換させる新技術および臨床応用に向けたマイクロRNA(miRNA)による癌のリプログラミングと,そのメカニズムについて紹介する。