特集2 新規2型糖尿病治療薬:選択的SGLT2阻害薬~日本人を対象としたトホグリフロジン治験成績を中心に~
4.選択的SGLT2阻害薬トホグリフロジンの腎機能別に見る有効性と安全性の検討~国内治験の併合データを用いたサブグループ解析~
宇都宮一典
1
,
川 浪
2
,
加 来
3
,
寺 内
4
,
戸 邉
5
,
谷 澤
6
,
荒 木
7
,
綿 田
8
,
岩 本
9
,
菅 波
10
,
渡 邊
11
1東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科・主任教授
2東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科・講師
3川崎医科大学総合内科学1・特任教授
4横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学・教授
5富山大学大学院医学薬学研究部内科学第一講座・教授
6山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学分野・教授
7熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学・教授
8順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学講座・教授
9東京女子医科大学・常務理事
10興和株式会社臨床解析部
11サノフィ株式会社統計解析室
pp.2230-2239
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014092230
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
SGLT2(sodium glucose co-transporter 2)阻害薬は腎臓に作用する薬剤であるため,腎機能低下患者では十分な効果が得られないとの指摘がある。そこで,トホグリフロジンの国内臨床試験4試験の併合データを用いたサブグループ解析を行ったところ,推算糸球体濾過量(eGFR)が30.0~ 60.0mL/分/1.73m2未満の腎機能低下患者においても血糖低下作用が認められ,安全性に関しても有害事象のリスクが高くなる結果は得られなかった。
以上から,トホグリフロジンは,eGFRが30.0mL/分/1.73m2以上の2型糖尿病患者の治療において,有効かつ安全な治療選択肢になり得ると考えられた。ただし,これらは臨床試験データによるものであることから,今後は製造販売後調査等で実臨床における適正な使用に基づいたデータの蓄積が求められる。