特集2 新規2型糖尿病治療薬:選択的SGLT2阻害薬~日本人を対象としたトホグリフロジン治験成績を中心に~
7.選択的SGLT2阻害薬トホグリフロジンの腎保護効果の可能性
井口登與志
1
,
加来浩平
2
,
菅波秀規
3
1九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点・教授
2川崎医科大学総合内科学1・特任教授
3興和株式会社臨床解析部
pp.2262-2273
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014092262
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糖尿病治療の目的は合併症の予防・進展抑制であるが,合併症の中でも糖尿病腎症は患者のQOL(quality of life)を著しく低下させるため,血圧や血糖コントロールを主とした治療が必要である。一方,2014年に本邦で承認されたSGLT2(sodium glucose cotransporter2)阻害薬について腎臓に対する影響は,まだよく分かっていない。そこで,トホグリフロジンの国内長期投与試験のデータを併合解析し,腎機能への影響を評価した。トホグリフロジンは尿中クレアチニンおよび微量アルブミンを有意に低下させた。また,糸球体内圧の改善が示唆され,腎障害マーカーの悪化は確認されなかった。トホグリフロジンが血糖低下作用以外にも,血圧や脂質などのメタボリックシンドロームを構成する因子の改善作用を有していることを鑑みれば,腎保護効果が期待できるかもしれない。