特集2 新規2型糖尿病治療薬:選択的SGLT2阻害薬~日本人を対象としたトホグリフロジン治験成績を中心に~
1.選択的SGLT2阻害薬トホグリフロジンの臨床第III相4試験を用いた安全性の検討~国内治験の併合データを用いた部分集団解析~
加 来
1
,
谷 澤
2
,
荒 木
3
,
綿 田
4
,
岩 本
5
,
宇都宮一典
6
,
寺 内
7
,
戸 邉
8
,
池 田
9
,
菅 波
10
,
渡 邊
11
,
前 田
12
1川崎医科大学総合内科学1・特任教授
2山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学分野・教授
3熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学・教授
4順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学講座・教授
5東京女子医科大学・常務理事
6東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科・主任教授
7横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学・教授
8富山大学大学院医学薬学研究部内科学第一講座・教授
9サノフィ株式会社糖尿病メディカル部
10興和株式会社臨床解析部
11サノフィ株式会社統計解析室
12サノフィ株式会社製造販売後臨床研究部
pp.2200-2207
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014092200
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
トホグリフロジンの国内第II相試験および第III相試験の計4試験のデータを併合した部分集団による検討から,低血糖,尿路感染症,性器感染症,ケトン体上昇が認められたが,いずれも重篤ではなく,トホグリフロジンの良好な忍容性が確認された。低血糖発現率は単独投与および併用投与でほぼ同様であったが,スルホニルウレア薬併用時は高くなるため,減量などの対応を要する。また,生活指導などによる尿路・性器感染症予防も求められる。ケトン体平均増加量は臨床的に問題となるものはないが,ばらつきが大きく,インスリン分泌の著明低下者では高リスクとなり得るため,使用すべきではない。またケトン体は脂肪分解とともに筋肉分解によっても生じることから,痩せた患者への投与は慎重に行うべきである。なお,これらは臨床試験の限られたデータからの検討であり,今後は製造販売後調査等で注意深く観察し,エビデンスを構築することが重要と考えられる。