特集2 新規2型糖尿病治療薬:選択的SGLT2阻害薬~日本人を対象としたトホグリフロジン治験成績を中心に~
10.SGLT2阻害薬は虚血性脳卒中発症を増やすのか?~トホグリフロジン臨床開発試験の分析~
長尾毅彦
1
,
加来浩平
2
,
菅波秀規
3
1東京女子医科大学神経内科・臨床准教授
2川崎医科大学総合内科学1・特任教授
3興和株式会社臨床解析部
pp.2295-2301
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014092295
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選択的SGLT2(sodium glucose co-transporter 2)阻害薬は利尿作用があり,特に高齢者では脱水の誘発が懸念されている。同薬開発治験中にも,少ないながら虚血性脳卒中の有害事象報告があり,脱水が誘因となっている可能性が指摘されている。今回,我々はトホグリフロジン臨床開発試験で発症した虚血性脳卒中の症例を解析し,脱水との因果関係について検証した。治験期間中に3例の虚血性脳卒中の発症が確認されているが,いずれも脱水を示唆する情報は少なく,同症発症に脱水が関与したとは考えにくかった。今後,多数例での更なるデータ集積が不可欠である。