特集1 抗凝固薬療法の展望と課題
8.新規経口抗凝固薬(NOAC)のレジスタンス(抵抗性)
後藤信哉
1
1東海大学医学部内科学系循環器内科・教授/代謝疾患研究センター・センター長
pp.719-722
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402719
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アスピリンに代表される抗血小板薬は,過去の臨床試験のエビデンスに基づいて,患者集団に対して包括的に使用された。個別最適化を目指しても,血栓/出血イベントと相関する定量的な指標を見出すことができなかった。定量性がないのが分かっていても,血小板凝集機能などが計測され,「アスピリン抵抗性」,「クロピドグレル抵抗性」など,科学的価値のない議論がなされた。抗凝固薬ワルファリンは,出血/血栓イベントとして定量的相関性を有するPT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)を用いて,個別最適化医療が施行されてきた。トロンビン阻害薬,Xa因子阻害薬などの新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)は,アスピリン同様,臨床試験のエビデンスに基づいた患者集団に対する雑駁な介入を目指す薬剤である。PT-INRによる個別最適化はできない。元々個別症例に対する有効性,安全性を評価しないとのコンセプトで生まれた薬剤であるため,PT-INRなどの計測の意味はない。個別最適化を目指さないので,個別症例の「抵抗性」などを論じる意味もない。