特集1 抗凝固薬療法の展望と課題
10.新規経口抗凝固薬(NOAC)の医療経済
堀正二
1
1大阪府立成人病センター・総長
pp.729-733
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402729
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非弁膜症性心房細動(non-valvular atrial fibrillation:NVAF)患者に対する抗凝固療法の必要性は確立しているが,従来より用いられているワルファリンに代わって新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)が登場してきた。NOACは多くの利点を有しているが,薬価が高いという欠点がある。ワルファリンやNOAC投与におけるイベント発症による生命・QOL(quality of life:生活の質)の損失をQALYs(quality adjusted life years:質調整生存年)で定量化し,1QALYを獲得するのに必要な費用をワルファリンと比較することによりICER(incremental cost-effectiveness ratio:増分費用対効果比)を求める費用/便益分析(cost-effective analysis)が注目されている。この分析は薬価のみならず,患者背景,医療環境,診療報酬支払制度などの影響を受けるため,各国で独自の分析が実施される必要がある。
ダビガトランの本邦における分析を例にとって,NOACの医療経済分析について考察する。