特集1 抗凝固薬療法の展望と課題
1.新規経口抗凝固薬(NOAC)とワルファリンの抗凝固機序のメカニズム
家子正裕
1
1北海道医療大学歯学部内科学分野・教授
pp.661-671
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402661
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抗凝固療法では,トロンビンバーストを阻害するが,生理的トロンビンは維持する。ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子量を減らすことにより,トロンビン産生を抑制する。PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)で健常人より若干低いトロンビン産生能に維持することにより,生理的トロンビンを保持する。新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulants:NOAC)では,ピーク期には薬剤で,トラフ期には患者自身の凝固制御因子でトロンビン産生を抑制する。生理的トロンビンは維持されるトラフ期には,NOACの抗凝固活性がいったんリセットされるため,凝固活性の多少の変動に影響されず広い有効域を示す。トロンビン阻害薬は凝固増幅期を,Xa阻害薬は凝固増大期(プロトロンビナーゼ複合体)を阻害することにより,トロンビン産生を抑制する。Xa阻害薬は血小板活性化にほとんど影響しない。