Topics 「身近な話題・世界の話題」(129)
新規経口抗凝固薬の中和薬
後藤信哉
1
Shinya Goto
1
1東海大学医学部 内科学系 循環器内科学 教授
pp.1362-1366
発行日 2014年8月30日
Published Date 2014/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201409074
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ワルファリンには50年に渡る臨床経験の蓄積がある。抗血栓薬使用中の症例では重篤な出血イベントの増加が避け難い。われわれは,圧迫止血,各種凝固因子投与,血小板輸血などの経験により出血に対応してきた。必ずしも臨床的エビデンスはなくても,経験的に結果が良ければよいと判断してきた。ダビガトラン,アピキサバンなどの経口抗トロンビン薬,抗 X a薬の使用経験は乏しい。薬剤開発の第 III 相試験は,いずれの薬剤も非弁膜症性心房細動の脳卒中予防使用時に年間3%程度の重篤な出血イベントを惹起することを示した。標準治療が確立されていない状況にて個別にベストを尽くしたのであろう。薬剤開発中の個別経験,あるいは新規経口抗凝固薬が年間3%前後の重篤な出血イベントを起こす事実が,中和剤の必要性に直結した可能性もある。論理的な中和法の開発が進んでいる。