特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~入院早期の体液管理における役割~
7.心不全に伴う腎うっ血の病態と治療~腎うっ血のMRI診断~
山本亮
1
,
伊東克能
2
,
柏原直樹
3
1川崎医科大学放射線医学(画像診断1) 講師
2川崎医科大学放射線医学(画像診断1) 教授
3川崎医科大学腎臓・高血圧内科学・教授
pp.139-147
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201401139
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
心不全と腎機能障害・腎不全との間には密接な関連があることが認識され,両者の関連 は心腎連関と呼称される。要点は,〈1〉 心不全と腎機能障害とが高率に共存する,〈2〉 両者は病因的に双方向性の関係を有している,〈3〉 両者は相互に病態・予後を悪化させる関係にある,ことである。
心不全により心拍出量が低下すると,腎灌流・血漿流量が低下し,急性腎障害の原因となる。一方,心不全では,静脈血の右房への還流障害により,中心静脈圧が上昇し,腎うっ血を生じ腎機能障害の原因となる。
腎うっ血の評価には従来,中心静脈圧の測定が用いられてきた。近年の画像診断技術の進歩により,形態学的にも腎うっ血の評価が可能になりつつある。とりわけMRI(magnetic resonance imaging)は,組織水分量変化を鋭敏に信号変化として検出可能であり,腎うっ血の評価に有望視されている。