特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~入院早期の体液管理における役割~
8.トルバプタンの適正使用:高ナトリウム血症,肝機能障害について
安藤友孝
1
,
廣谷信一
2
,
増山理
3
1兵庫医科大学内科学循環器内科
2兵庫医科大学内科学循環器内科 講師
3兵庫医科大学内科学循環器内科 主任教授
pp.148-153
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201401148
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心不全診療において,利尿薬は体液貯留によるうっ血症状を取り除くために必須の薬剤となっている。しかしながら,強力な利尿作用を持つループ利尿薬を用いても,期待するだけの利尿効果が得られず,利尿薬の増量を余儀なくされる,いわゆる利尿薬抵抗性の状態となる症例が存在する。また,ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬は,ナトリウム利尿によってその利尿効果を得るため,心不全の予後悪化因子である低ナトリウム血症を引き起こし得る。これらの問題を解決することが期待され,新しい作用機序の利尿薬として,2010年12月にバソプレシンV2-受容体拮抗薬であるトルバプタン(サムスカ)の販売が開始された。販売から約3年が経過した現在,トルバプタンの適正使用について考えたい。