連載 眼の組織・病理アトラス・15
うっ血乳頭
向野 利彦
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.26-27
発行日 1988年1月15日
Published Date 1988/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210241
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視神経乳頭の浮腫性腫大はさまざまな病的状態で見られる.直接的な炎症の波及によるものを除き受動的に生じる乳頭の腫張は乳頭浮腫opticdisc edemaといわれる.そのうちでもとくに頭蓋内圧亢進が明らかにされたものをうっ血乳頭papilledemaと称する(図1).しかし,光学および電子顕微鏡を用いた組織学的検討では,乳頭浮腫とうっ血乳頭は区別できない.
視神経乳頭の腫張は節状板前部で生じ,とくに乳頭縁で著しい.硝子体側へ突出するとともに側方へも腫大し,乳頭隣接部網膜を圧排する.節状板前部の組織容量の増大により生理的陥凹は狭くなり,圧排された網膜は乳頭縁から偏位し,網膜外層は皺になり,臨床的に網膜皺襞(Paton'sline)として観察できる.錐体杆体も網膜色素上皮から剥離し偏位する.網膜下に浸出液が貯留し限局性網膜剥離が出現することもある(図2).これがうっ血乳頭の視野で早期にみられるマリオット盲点の拡大の一因となる.
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