特集2 関節リウマチ治療の新しい展開 ~JAK阻害薬の臨床導入による進歩~
4.トファシチニブの作用機序
山岡邦宏
1
,
田中良哉
2
1産業医科大学医学部第一内科学講座講師
2産業医科大学医学部第一内科学講座教授
pp.1993-1997
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12013081993
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トファシチニブは免疫機構で重要な役割を担うJanus kinase(JAK)を特異的に阻害する。JAKはリンパ球の分化・増殖に必須であり,トファシチニブ投与中の関節リウマチ患者ではCD4+T細胞の増殖抑制が治療効果と相関し,内服開始前のCD8+T細胞数が少ない症例では感染リスクが増大している可能性が示唆された。また,関節滑膜内CD4+T細胞に直接作用し,増殖とサイトカイン産生を抑制,さらに,樹状細胞への直接作用により炎症性サイトカイン産生抑制に加え,CD4+T細胞刺激能も抑制した。トファシチニブの短期的作用は主にリンパ球への直接作用と考えられるが,滑膜線維芽細胞への作用も報告され,長期間作用させることで炎症に関与する種々の細胞に直接・間接的に作用する。