特集 IBD診療のdecision making ― 専門医の選択
2.潰瘍性大腸炎難治例の第一選択(2)トファシチニブを推奨する立場から
大井 充
1
,
星 奈美子
1
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
JAK/STAT経路
,
OCTAVE試験
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
JAK/STAT経路
,
OCTAVE試験
pp.136-142
発行日 2021年1月20日
Published Date 2021/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001665
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炎症性腸疾患の治療は進歩し,治療薬のなかでは第三世代ともいうべき新たな作用機序の薬剤が登場してきた.JAK阻害剤は複数の炎症性サイトカインのシグナル伝達回路であるJAK/STAT経路を直接阻害し広範かつ強力に炎症を制御することができる.経口の低分子化合物でもあり,高分子の生物学的製剤とは違い免疫原性も低い.海外での大規模臨床試験の結果では,既存の治療抵抗例にも効果が期待できるとされ,今後炎症性腸疾患治療の柱ともなりうる薬剤である.一方で,その強力な免疫抑制作用から感染症の副作用が懸念されアジアでは帯状疱疹が多く見られる.また,2020年9月現在,世界はCOVID—19パンデミックの真っただ中であり,安易な使用は控えなければならない.
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