特集2 関節リウマチ治療の新しい展開 ~JAK阻害薬の臨床導入による進歩~
3.トファシチニブの開発経緯
中村普幸
1
1ファイザー株式会社医薬開発部門クリニカル・リサーチ統括部リウマチ・疼痛領域部・部長
pp.1989-1992
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12013081989
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トファシチニブは強力なヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリー阻害薬であり,ヒトのキナーゼ群の中でJAKファミリーに対して高い選択性を示す。トファシチニブによるJAK1およびJAK3の阻害により,インターロイキン(IL)-2,IL-4,IL-7,IL-9,IL-15およびIL-21のサイトカイン受容体を介したシグナル伝達が阻害される。JAK1/3阻害により,多数のサイトカイン経路に対して広範な作用が期待されることから,トファシチニブは,リンパ球の活性化や増殖が病因となる疾患に対する治療薬として開発されている。
トファシチニブは,経口投与可能な低分子のJAK阻害薬で,関節リウマチ(RA)の治療薬として開発され,さらに,その他の自己免疫疾患の治療薬としての開発も実施されている。本稿では,トファシチニブのRA治療薬としての日本での開発状況に関して概説する。