小特集 治療抵抗性統合失調症患者に対する クロザピン治療における薬剤師の役割
1.医師の立場から~クロザピン治療を開始して3年,その現状や 薬剤師に期待すること~
稲田健
1
1東京女子医科大学医学部精神医学講座・講師
pp.1741-1746
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201307127
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2009年より,日本において治療抵抗性統合失調治療薬のクロザピン(クロザリル®)の使用が始まった。クロザピンには代替し難い優れた効果と,時に重篤化する副作用があり,安全な使用を目指して,厳格な適応基準とモニタリング制度が設定されている。2013年2月までに,日本国内で1,337名に処方がなされ,使用経験が増加しているが,十分な普及とは言い難い。クロザピンの普及が進まない要因をまとめると,〈1〉 副作用の重篤化を回避するためモニタリングが必須である,〈2〉 治療抵抗性の基準に加え副作用を考慮すると適応が狭まる,〈3〉 身体管理能力が求められる,〈4〉 治療抵抗性統合失調症の治療には総合力が必要といったことが考えられる。患者にも医療機関にも負担のかかる治療薬であるため,目的を共有し協働することが求められる。