特集 医療における“物語”―Narrative-Based Medicine(NBM)
[Narrative-Based Medicineの実践例]
医師の立場から(1)
阿部 恵子
1
,
佐藤 寿一
1
1名古屋大学医学部附属病院総合診療部
キーワード:
全人的医療
,
無知の姿勢
,
ナラティブの記録
,
NBMの有用性
Keyword:
全人的医療
,
無知の姿勢
,
ナラティブの記録
,
NBMの有用性
pp.853-855
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100713
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近年,医療の分野において“ナラティブ”という言葉が注目されつつある.その背景には,医療技術の急速な発達に伴う疾患中心の生物科学的な医療のみが高く評価され,患者の痛み,悲しみ,不安,あるいは生活環境や価値観といった心理社会的背景を視野に入れた全人的医療がなおざりになりがちな現代の医療に対する見直しの気運がある.
とくに現代は「慢性疾患の時代」と呼ばれるように,生涯つき合っていかなければならない病気に罹患している人は年々増加し,医師・患者の相互協力的な関係がより重要となってきている.よりよい協力関係を構築するためには患者の背景情報を十分に把握することが重要であり,ナラティブにおける「無知の姿勢」はその情報を得る1つの有用な方法と考えられている.
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