『早期大腸癌』からの20年、『INTESTINE』からの今後20年
[病理分野]炎症性腸疾患の病理診断の歴史と将来
田中 正則
1
1弘前市立病院 臨床検査科
キーワード:
炎症性腸疾患
,
鑑別診断
,
生検
,
腸間膜静脈
,
腸間膜血管閉塞症
,
近代医学史
,
小腸疾患
,
大腸炎-顕微鏡的
,
血管炎-抗好中球細胞質抗体関連
,
血管石灰化
,
小腸潰瘍
Keyword:
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Mesenteric Vascular Occlusion
,
Mesenteric Veins
,
Inflammatory Bowel Diseases
,
Colitis, Microscopic
,
History, Modern 1601-
,
Anti-Neutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis
,
Vascular Calcification
pp.103-110
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016150299
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近年の内視鏡および病理診断の進歩,とくに簡便なスコア化生検診断基準の登場により,炎症性腸疾患(IBD)とそれ以外の腸炎の鑑別のみならず,クローン病と潰瘍性大腸炎の鑑別も正確にできるようになった.その一方で,解決すべき課題も多く残されている.発癌や易感染性のリスクを有する生物学的製剤が頻用されている現在,投与終了時期を見極めるための内視鏡的・生検組織学的基準が必要となっているが,まだ研究の途についたばかりである.また,単一遺伝子変異に起因するmonogenic IBDと呼ばれる疾患群の病理診断が新たな問題となっている.臨床経過や内視鏡所見がしばしばIBDに類似するが,病理診断の立場から生検所見を総括した報告はほとんどない.最近注目されているANCA関連血管炎もしばしばIBD-likeの所見を呈する疾患群で,これらの生検診断も今後の研究課題である.以上のほかに,microscopic colitis,特発性腸間膜静脈硬化症,非特異性多発性小腸潰瘍症の病理診断とpitfallについて触れる.
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